■生命科学
■バイオテクノロジー
■遺伝子工学
■分子生物学


細胞の構造

ミトコンドリア

ゴルジ体

リボソーム

葉緑体

小胞体







細胞小器官


分裂、遺伝子発現、代謝が細胞の主な活動である。
これら活動は、細胞小器官(organelle)の分業によって支えられている。
真核細胞は、原核細胞よりも、細胞小器官が高度に発達している。


細胞小器官は進化の過程で獲得されていったものである。
細胞の構造


核は、二重の核膜によって包まれ、遺伝子の実体であるDNAを格納している。
その表面にはリボソームが付着している。

原核細胞は核を持たない代わりに核様体がある。
ミトコンドリア 糖と酸素からエネルギーを生産する。

独自のDNAを持つことから、もともとミトコンドリアは別の微生物であったが、真核細胞に取り込まれたものと考えられている。
ゴルジ体 分泌タンパク質、細胞外タンパク質への糖鎖の付加、リボゾームタンパク質のプロセシングを担っている。
リボソーム タンパク質を合成する。

細胞質中に分散して存在するものと、小胞体や核の表面に付着しているものがある。
葉緑体 光合成を行う色素体を葉緑体という。植物細胞にのみ存在する。

ミトコンドリアと同様に、葉緑体も独自のDNAを持つ。このことから、光合成を行う微生物が、真核細胞に取り込まれて葉緑体になったと考えられている。
小胞体 タンパク質や分泌タンパク質の合成しや、異常なタンパク質の分解を担当する。
細胞小器官 小胞体ゴルジ体、エンドソーム、リソソーム、ミトコンドリア葉緑体等が、細胞小器官である。

細胞内にあるすべての、器官が細胞小器官に含まれるのではない。
たとえば、リボソームは細胞小器官に含まないとする考えが有力である。


細胞は生命の基本単位である。
細胞の活動の主役が核である。核の周囲を細胞質という。


真核細胞では、核は二重の核膜で保護されている。
核の内部に染色体が格納されている。


個々の細胞が持つ生命活動の情報を遺伝子という。
遺伝子はDNA(デオキシリボ核酸)の塩基を並び方によって表現されている。
遺伝子の実体がDNA(デオキシリボ核酸)である。


DNAは非常に長いヒモ状の物質で、通常は所々でヒストンというたんぱく質に巻きついている。
これが凝縮したものが染色体である。
人間の場合、体細胞一個あたり46本の染色体を持つ。
46本の染色体を伸ばし、つなぎ合わせると2メートルに達する。
核内には、染色体がぎっしりと詰まっているのだ。


原核細胞では核の代わりに核様体がある。
染色体のカタマリがむき出しのまま細胞内に存在する。
核ではないが、まるで核のように見えるので核様体と呼ばれる。


核膜の所々には孔があいている。
この孔を通路にして物質が核内と細胞質を行き来するのだ。


核膜の表面にはリボソームが付着している。
核には仁と呼ばれる円形の部分がある。


細胞膜


細胞を包む膜を細胞膜という。


細胞膜は二重の脂質から構成されている。つまり、細胞はあぶらの膜で覆われているのだ。
そしてこの二重の膜にタンパク質が、モザイク状に配置されている。


細胞膜によって、内容物が保護されているからこそ、生命を維持することができるのだ。
細胞は生きていくために外界から養分となる物質を取り入れ、不要な物質を排出する。
取り入れや排出の際、これらの物質は細胞膜を通過する。


タンパク質や脂質と結合した糖の鎖が、細胞膜の外側にある。この糖の鎖によって、細胞が相互に結びつく。

ミトコンドリア


ミトコンドリアの主な仕事はエネルギーの生産である。
その他、カルシウムの貯蔵や、アポトーシスの制御等の役割も担っていることが分かってきた。


ミトコンドリアは、真核生物の細胞に含まれる細胞小器官の1つである。
1つの細胞内に含まれるミトコンドリアの数は、細胞の種類によって異なる。
少ないもので1個、多いものでは数千個のミトコンドリアを含む。


ミトコンドリアの形や大きさは細胞の種類ごとに様々である。
高等植物や動物では球型や円柱型が一般的であり、大きさは長さ10μm、幅0.2μm程度である。


ミトコンドリアはリン脂質の膜で2重に覆われている。外側の膜には特色がない。
内側にある内膜は、内側に向かって入り込んだ多くのひだ状の構造を持つ。
このひだ状の構造のため、内膜の表面積は著しく大きい。
ひだ状の構造をクリステという。
内膜の内側をマトリックスと呼ぶ。


ミトコンドリアは独自のDNAを持つ。これをミトコンドリアDNA(mtDNA)と呼ぶ。
マトリックス内には、ミトコンドリアDNAの他、リボソームやクレブス回路に関する酵素群等が含まれている。


ミトコンドリアはバクテリア細胞が真核細胞に共生することによって獲得されたと考えられている(リン・マーギュリスの細胞内共生説)。


ミトコンドリアは、核のDNAとは別に独自のDNAを持つ。
ミトコンドリアのDNAは環状DNAである。分裂時に複製倍加する。
このミトコンドリアDNAの変化を追うことにより、どのように種が分岐していったか、分岐はいつ頃起こったのかを調べることができる。


ペロミクサや微胞子虫等、いくつかの原生生物はミトコンドリアを持っていない。
これらの生物は、ミトコンドリアが共生する以前の生物がそのまま生き残ったとする説がある。
一方で、ミトコンドリアが退化したとする説もあり、はっきりとは分かっていない。


人間のミトコンドリアDNAは必ず母親から引き継がれる。
精子もミトコンドリアを持つが、受精後に排除されるからである。
世界中の人間のミトコンドリアDNAを調査した結果、人類の共通の祖先はごく少数の女性に集約されることが判明した。
この女性たちを「ミトコンドリア・イヴ」という。
この話はイブの七人の娘たちに詳しい。


ゴルジ体


ゴルジ体(Golgi body)は真核細胞の細胞小器官の一つである。
ゴルジ(Golgi)とは発見者の名である。
ゴルジ装置(Golgi apparatus)、ゴルジ複合体(Golgi complex)、網状体(dictyosome)等の別名もある。
分泌タンパク質や細胞外タンパク質に糖鎖を付加したり、リボゾームタンパク質のプロセシングを担っている。


リボソームや小胞体でから運ばれてきたタンパク質はゴルジ体を通過する。
このとき、タンパク質に糖鎖が付加され、ゴルジ体より分泌される。


ゴルジ体から生じる小胞をゴルジ小胞という。
ゴルジ小胞によって、各層間や周辺の細胞小器官との物質の授受が行われている。


動物細胞のゴルジ体は、を取り囲むように存在しているが、植物細胞では、独立して存在する。


ゴルジ体は小胞体と近接して存在する場合が多い。
小胞体側をシス・ゴルジ網(CGN:Cis Golgi Network)、その反対側の面をトランス・ゴルジ網(TGN:Trans Golgi Network)という。


ゴルジ体は、シス・ゴルジ網とトランス・ゴルジ網とで、特性が大きく異なり、役割も異なっている。


ゴルジ体は、細胞分裂時に全体が数百の小胞に分断され、細胞全域に分散する。
細胞分裂が完了すると、集合して再構成される。


葉緑体


光合成を行う色素体を葉緑体という。
光合成を行う生物の中には、少数ながら葉緑体を持たないものある。
光合成細菌とラン藻類がこの種に該当する。
原則として、植物細胞は葉緑体を持つが、動物細胞は葉緑体を持たない。


葉緑体

葉緑体は、直径3〜10μmの大きさで、凸レンズのような形をしており、二重の外膜で包まれている。


内側には、袋状のチラコイドが重なっている。
この中に光合成の明反応の場であるグラナがある。
ストロマには、光合成の暗反応の酵素をはじめ、葉緑体の可溶性の成分も含まれている。


小胞体(ER)


小胞体は、タンパク質合に関する細胞小器官である。
膜で包まれた袋状の構造を持つ。
小胞体は相互につながり合っており、細胞内部に網状に広がっている。
表面にリボソームが付着した粗面小胞体、およびリボソームが付いていない滑面小胞体の2種類がある。


リボソームで合成されたタンパク質は、小胞体に蓄積され、ゴルジ体へ運ばれる。
ゴルジ体、リソソーム、小胞体、細胞膜等を構成するタンパク質は、小胞体で合成される。
異常なタンパク質の分解も行う。


小胞体は、電子顕微鏡の観察によって始めて、存在が認識された。
つまり小胞体は、光学顕微鏡で観察することができないのだ。


リボソーム


リボソームは、直径が20ナノメートル程度の粒状の器官で、RNAとタンパク質から構成される。
細胞質全体に浮遊しているものと、小胞体(ER)の表面に付着しているものがある。


mRNAの持つ遺伝情報に従って、アミノ酸を順次ペプチド結合させていくことが、リボソームの機能である。
このプロセスを翻訳という。
翻訳に使用されるアミノ酸は、tRNAが細胞質中から運んできたものである。




スポンサ−ドリンク



▲TOP

▲HOME